「…りっくん。あそこの女の子たちにバレたんじゃっ…」

「シッ…!見たら怪しまれる。聞こえてないフリして、自然にしておけばいいから」


それが、いつものりっくんのやり過ごし方なのだろう。

その声に反応しなければ、ただの似ている人でスルーされると。


そうは言っても、わたしはバレたらどうしようという気持ちのほうが強くて、どうしてもその2人の会話が気になって仕方がない。


「でも、律希がこんなだれでもくるような場所にいるものかな?」

「けど、地元はこの近くだって」


まだ、モデルの律希だと完全にバレたわけではなさそう。


人違いだと思い込んで、早くどこかへ行ってほしいな。

そう思っていたんだけど――。


「…ねぇねぇ。あの隣にいる女の子って…」

「もしかして、…彼女?」


りっくんの隣にいる女の子…。