そうだったんだ。

そういうことなら…。


「わたしの意見で…よければ」

「おう。期待しておくっ」


服のセンスに自信はないけど、りっくんといっしょに服を選ぶ…。

そんな時間がとても楽しかった。


だから、買い物に夢中で全然気づかなかった。

わたしとりっくんを交互に見つめる視線に…。



「ねぇ、りっくん。これなんてどう――」

「見て見てっ…。あれって…もしかして」

「…えっ、うそ!?モデルの律希…!?」


そんな声がふと聞こえた。


見ると、高校生くらいの女の子が2人、こちらを見ながら小声で話している。


キャップと伊達メガネの変装は、ここまで意外とバレなかった。

だけど、細見で背が高いりっくんのスタイルは、どうしても隠しきれない。


おまけにイケメンだし、それでよく見たらモデルの律希だって悟られてもおかしくはない。