ほら、店員さんだってこう言っている。


「スタイルもよくて、まるでモデルさんみたいですね!」


店員さんの褒め言葉に、苦笑するりっくん。

わたしも思わず、クスッと笑ってしまった。


『モデルさんみたい』じゃなくて、本当のモデルさんだから。


しかしりっくんは、なにも買わずにお店を出てしまった。


「…あれ?買わなくてよかったの?店員さんだって、ああ言ってたのに」

「店員さんの意見じゃなくて、俺はしずくの意見が聞きたかったんだよ。しずくがいいって思ったものを買いたいから」

「…そんなっ。わたしなんて、オシャレとかよくわからないし…」

「じゃあ、今日のしずくのそのワンピースだって、テキトーに選んで着てきたの?」


りっくんにそう言われて、わたしは自分のワンピースに視線を移す。