わたしは見てなかったんだけど、りっくんはそのドラマを毎週欠かさず見ていたらしい。


芽依も先週この映画を見に行ったと言っていて、おもしろかったと話していた。


隣同士の席を選択し、チケットを持って入場。

そして、お互いの間にポップコーンを置いて、2人でいっしょにシェアをした。


暗くなる映画館では、りっくんは変装のためのキャップや伊達メガネを外していた。

スクリーンのぼんやりとした明かりで照らされるりっくんの横顔を、わたしは気づかれないようにそっと見つめていた。



「どうだった?映画」

「おもしろかったよ!ドラマ見てない人でもわかる内容になってたし」


これは確かに、芽依が『見たほうがいい!』と推していただけのことはある。


「こんなにおもしろいなら、ドラマも見ておけばよかったなぁ」