キョトンとして振り向くと――。


「んっ」


そう言って、りっくんは自分の右手を差し出していた。


「…ん?手のひらに、なにかついてるの?」


りっくんの右手をまじまじと眺めるけど、とくに変わったことはない。


「違ぇよ。…こうだよっ」


りっくんは呆れたようにため息をつくと、差し出していた右手でわたしの左手を握った。


そして、指と指の間にりっくんが指を絡めてくる。


今、自分がされていることに…頭が真っ白になる。


だって…わたし。

りっくんと手を繋いでいる…!!


「…りっくんっ。周りに人がいるのに…恥ずかしいよ」

「こんなの、付き合ってたらフツーだろ?」


そう言って、りっくんは顎をクイクイと動かして合図をする。

見ると、通り過ぎるカップルたちは、みんな仲よさそうに手を繋いでいた。