「でも、りっくんと付き合っていることは周りにはヒミツって…。なんだかドキドキするね」


モデルの律希に彼女がいるということは知られてはいけない。

そんな公にできない付き合いを嫌がるコもいるかもしれないけど、控えめなわたしはそれでいいと思っている。


わたしも学校で目立つのは困るから、りっくんと付き合っていることは芽依にしか話していない。


忘れたときの教科書の貸し借りなどはしたりするけど、それは付き合う前からやっていたこと。

ただ同じ小学校だったから、とくらいにしか思われていないだろう。


だからこそ、りっくんと廊下ですれ違うときは、お互いにしかわからないアイコンタクトを取ったりして、それがまたちょっぴりドキッとしたりする。



「じゃあ、そろそろ行くか」

「うん!」


わたしが改札口に向かって歩き出そうとすると、なぜかりっくんが腕を握って止めた。