その三か月後、私は予定通り皆に祝福されて結婚した。
結婚相手は大学三年の時、バイト先のキムラ書店で出会った矢藤 充 三十歳。
既にキムラ書店で正社員として働いていた彼は、バイトの指導係も担当していて話のノリが合うなぁと思っていたらどんどん仲良くなって、いつの間にか二人で食事に行くようになり、私が大学を卒業する時に付き合おうと告白された。
充はとてもまじめでシャイな人。それに無口だ。家ではほとんど私の独演状態。
仕事に関しては何がなんでも上にのし上がるタイプでもないけれど、勤勉な彼は周りから認められ、結婚して一年が経った時課長職に昇格した。
彼とは付き合いも長かったから、いわゆる空気みたいな存在だ。
いてもいなくても気にならないけど、いないととりあえず困る、みたいな。
「また飲むの?」
晩酌用に冷蔵庫から缶ビールを取り出した私に充が言った。
「いけない?」
私は眉間に皺を寄せて尋ねる。
「だって毎日だよ」
「ビールなんてお茶と一緒だわ。充も一緒に飲む?」
「いらない」
彼はそう言うとリビングのソファーに座ってテレビを点けた。
充はそれほどお酒が得意じゃない。
私が日課みたいに毎日飲んでいることが理解できないらしい。
彼の隣に腰を下ろし、缶ビールを小気味良い音を響かせて開けると一気に半分飲み干す。
テレビはニュース番組が流れていて、正直つまらないけれど、夕食後の21時から22時という時間帯は彼のテレビタイムといつの間にか決まっていた。
充は、テレビを観終えるといつも一人でさっさと寝てしまう。
疲れてるんだろうけど、もっと夫婦の時間を楽しもうとは思わないんだろうか。
出会った頃から淡白なタイプだとは気づいてたけれど、結婚一年目だし、そろそろ子供のことも二人で真剣に考えたかった。
『結婚なんて誰としたってそんなもんよ』
大学卒業と同時に結婚した、同級生の桃井 百合もこないだそんなこと言っていたっけ。
結婚相手は大学三年の時、バイト先のキムラ書店で出会った矢藤 充 三十歳。
既にキムラ書店で正社員として働いていた彼は、バイトの指導係も担当していて話のノリが合うなぁと思っていたらどんどん仲良くなって、いつの間にか二人で食事に行くようになり、私が大学を卒業する時に付き合おうと告白された。
充はとてもまじめでシャイな人。それに無口だ。家ではほとんど私の独演状態。
仕事に関しては何がなんでも上にのし上がるタイプでもないけれど、勤勉な彼は周りから認められ、結婚して一年が経った時課長職に昇格した。
彼とは付き合いも長かったから、いわゆる空気みたいな存在だ。
いてもいなくても気にならないけど、いないととりあえず困る、みたいな。
「また飲むの?」
晩酌用に冷蔵庫から缶ビールを取り出した私に充が言った。
「いけない?」
私は眉間に皺を寄せて尋ねる。
「だって毎日だよ」
「ビールなんてお茶と一緒だわ。充も一緒に飲む?」
「いらない」
彼はそう言うとリビングのソファーに座ってテレビを点けた。
充はそれほどお酒が得意じゃない。
私が日課みたいに毎日飲んでいることが理解できないらしい。
彼の隣に腰を下ろし、缶ビールを小気味良い音を響かせて開けると一気に半分飲み干す。
テレビはニュース番組が流れていて、正直つまらないけれど、夕食後の21時から22時という時間帯は彼のテレビタイムといつの間にか決まっていた。
充は、テレビを観終えるといつも一人でさっさと寝てしまう。
疲れてるんだろうけど、もっと夫婦の時間を楽しもうとは思わないんだろうか。
出会った頃から淡白なタイプだとは気づいてたけれど、結婚一年目だし、そろそろ子供のことも二人で真剣に考えたかった。
『結婚なんて誰としたってそんなもんよ』
大学卒業と同時に結婚した、同級生の桃井 百合もこないだそんなこと言っていたっけ。