とりあえず落ち着きを取り戻すために、水を一口飲みゆっくりと深呼吸した後尋ねる。
「で、どういう相談?」
「ええ、同じ職場でそういう関係になっちゃった場合、ちょっと仕事がやりにくくなっちゃって。そういうこと、瑞希さんは今まで経験ありますか?」
どうしてだか、彼女の言葉がいちいち鼻に突く。そんな経験なさそうだけどとりあえず聞いてるみたいな。
そんな風に穿った受け止め方をしてしまうのは、半分身内のような亮が彼女の相手だからなのか。
「私はそんな経験ないからわからない。ただ、仕事と男関係は割り切って考えないとだめだと思うな」
「そうなんですけど、小出さんってよくみたらすごくかっこいいし、すれ違う度にドキドキしちゃって。好きになっちゃいそうなんですよね」
「でも、奈美恵は彼氏いるんでしょう?」
「いますけど、喧嘩ばかりだし、これを機に別れちゃってもいいかなぁなんて思ったり。いっそのこと小出さんと付き合っちゃう方が逆に割りきれてよくありません?」
「そう、かな......」
亮はどう思ってるんだろ。奈美恵のこと好きなのかな。
でも、好きでもない子とそんな関係にはならないか。
それにしても、ここまでの話を聞くにつけ、彼女と亮とは不似合いというかなんか納得がいかないというか。
私がどうこういう話じゃないのはわかってるのに、ずっと動揺している。
「前から思ってましたが、瑞希さんて小出さんと仲いいですよね。さっきも給湯室でじゃれあってた」
見られてたんだ。
怖いくらいに無表情な奈美恵が突然切り出した。
「今まで本当にそれ以上の関係になったことはないんですか?もちろん、瑞希さんが結婚する前の話ですけど」
「あるわけないじゃない」
はっきりとした声で即答する。
あいつとはただの先輩後輩で、ただの飲み仲間だ。それ以上の関係なんて考えたこともない。きっと亮だってそうだ。
奈美恵は瞬き一つせずに私を見つめ返す。
「相談の本題に入りますが、小出さんと私が付き合うことになってもいいですか?」
「別にいいんじゃない?二人で決めることだし、私がとやかく言える立場じゃない」
その途端、彼女はいつもの人懐こい笑顔を見せ言った。
「もし付き合うことになったら、職場内恋愛になるので色々とややこしいこともあると思って。その時は瑞希さん、助けて下さいね」
誰が助けるかと心の中で叫びながら、作り笑顔で頷く。
それにしても、奈美恵ってこんな侮れない人だったんだ。どえらい人が私の後任になったもんだ。
恐らく相談したいなんてただの口実で、私に牽制をしたかっただけだろう。
もう亮には近づくなっていう。
私は既婚者だっていうのに、全く不愉快だ。
いずれにせよ、奈美恵と亮がもし付き合うことになれば、二人で飲みに行くのは今日が最初で最後かもしれない。
「亮はぶっきらぼうだけどいい奴だから」
それだけ彼女に言うと、私は席を立った。
「で、どういう相談?」
「ええ、同じ職場でそういう関係になっちゃった場合、ちょっと仕事がやりにくくなっちゃって。そういうこと、瑞希さんは今まで経験ありますか?」
どうしてだか、彼女の言葉がいちいち鼻に突く。そんな経験なさそうだけどとりあえず聞いてるみたいな。
そんな風に穿った受け止め方をしてしまうのは、半分身内のような亮が彼女の相手だからなのか。
「私はそんな経験ないからわからない。ただ、仕事と男関係は割り切って考えないとだめだと思うな」
「そうなんですけど、小出さんってよくみたらすごくかっこいいし、すれ違う度にドキドキしちゃって。好きになっちゃいそうなんですよね」
「でも、奈美恵は彼氏いるんでしょう?」
「いますけど、喧嘩ばかりだし、これを機に別れちゃってもいいかなぁなんて思ったり。いっそのこと小出さんと付き合っちゃう方が逆に割りきれてよくありません?」
「そう、かな......」
亮はどう思ってるんだろ。奈美恵のこと好きなのかな。
でも、好きでもない子とそんな関係にはならないか。
それにしても、ここまでの話を聞くにつけ、彼女と亮とは不似合いというかなんか納得がいかないというか。
私がどうこういう話じゃないのはわかってるのに、ずっと動揺している。
「前から思ってましたが、瑞希さんて小出さんと仲いいですよね。さっきも給湯室でじゃれあってた」
見られてたんだ。
怖いくらいに無表情な奈美恵が突然切り出した。
「今まで本当にそれ以上の関係になったことはないんですか?もちろん、瑞希さんが結婚する前の話ですけど」
「あるわけないじゃない」
はっきりとした声で即答する。
あいつとはただの先輩後輩で、ただの飲み仲間だ。それ以上の関係なんて考えたこともない。きっと亮だってそうだ。
奈美恵は瞬き一つせずに私を見つめ返す。
「相談の本題に入りますが、小出さんと私が付き合うことになってもいいですか?」
「別にいいんじゃない?二人で決めることだし、私がとやかく言える立場じゃない」
その途端、彼女はいつもの人懐こい笑顔を見せ言った。
「もし付き合うことになったら、職場内恋愛になるので色々とややこしいこともあると思って。その時は瑞希さん、助けて下さいね」
誰が助けるかと心の中で叫びながら、作り笑顔で頷く。
それにしても、奈美恵ってこんな侮れない人だったんだ。どえらい人が私の後任になったもんだ。
恐らく相談したいなんてただの口実で、私に牽制をしたかっただけだろう。
もう亮には近づくなっていう。
私は既婚者だっていうのに、全く不愉快だ。
いずれにせよ、奈美恵と亮がもし付き合うことになれば、二人で飲みに行くのは今日が最初で最後かもしれない。
「亮はぶっきらぼうだけどいい奴だから」
それだけ彼女に言うと、私は席を立った。