当日私がつけるネックレスも、イヤリングも、ティアラとドレスにしっくりくるデザインが理玖の手によって生み出された。
唯一、理玖が不服だったのは、本来ならダイヤを散りばめたかったであろう箇所にはスワロフスキーのビーズを使和なければならなかったこと、らしい。
自分のデザインをダイヤを使って全力で再現するには、予算が足りなすぎたとぼやいていた。
そうは言っても、スワロフスキーはダイヤモンドとほとんど変わらない、素晴らしい輝きを放つ。
むしろ理玖のこだわりのデザインを完璧に再現してくれるなら、100均ビーズでも私は良かったのだ。
私にとっては、ダイヤの輝きよりも、彼の手で生み出される魔法の方がずっと価値があるのだから。

そして、その魔法のために、理玖がこの半年間まともに睡眠を取ることができなかったのも知っている。

「嬉しいけど……理玖を疲れさせちゃって、何だか申し訳ないな……」

と私のために作られた、結婚式のための全てを眺めながらそう呟いていると、背後から理玖がハグし、

「お前のためじゃなかったら、こんなきついことしないよ」

と言いながら私の首筋をちゅうっと吸ってマーキングしてきた。
あー明日はポニテやシニョンにはできないな、と思いながら、理玖が望むように彼を見つめるために振り返り、胸元に顔を埋める。

それからはいつものようにお互い貪るような、熱を帯びたキスを交わしながらベッドに倒れ込み、互いの肌を味わう時間が始まる。

この準備期間、私の月のものの時期以外は必ずと言って理玖は私を求めてきたので、その体力は一体どこからくるんだろうかと、彼の熱を受け止めながら何度か思った。
ちなみに、今は避妊はしっかりしてもらってる。
理玖が作ってくれたドレスを完璧な体型で着るため。

「今はしょうがないけど……式が終わったら、ここにたくさん受け止めて」

とお腹の辺りを触られながら言われてしまった時は、何てことをこの人は言うのだと思ったが、同時にその時が来るのが待ち遠しいと考えるくらいには、あの瞬間……2人の魂が混じり合う時が恋しいと思っていた。