亮がいなくなって、急に画面の向こうのアナウンサーに人間味を感じなくなってしまった。

本当にこの人達に感情というものがあるのだろうか。

これだけ傷ついている人間の存在には目もくれず、全て知っているかのように淡々と事実だけを述べる。

何の罪もない人の尊い命が奪われることが無くなるよう願っています。
とかいうテンプレ。

言葉だけ飾って、結局は他人事。

何も知らないくせに。

怒りすら湧いた。



それと同時に、なんだか寂しくも感じた。


亮が大切な存在だった俺だけが悲しみの渦に飲まれて、それに誰かが寄り添ってくれているように見えて結局その人達には関係ない。


アナウンサーは、ニュース番組はそういう存在だから仕方がない。分かっている。

でも、言葉と体感は違う。


通り魔事件。


今のこのつらさは、5文字どころか、どう頑張ったって文字や言葉で表すことはできない。

どれだけ言葉で説明したって、理解されない。

余計に精神的にこたえて、そんな考えに行き着いてしまうから、テレビは見なくなった。


というより、見られなくなった。

なんであいつが。



なんで、あいつが……。