「ここ2年B組のクラスメイトの、唯﨑 亮くんが、一昨日亡くなりました」

若くて元気で情熱的な、いつもの担任と同じ人物とは思えない、低く落ち着いた声。

声が震えるのを押し殺しているのが容易に伝わってくる。

「近頃ニュースでもよく耳にしていたであろう、通り魔事件に巻き込まれてしまったそうです」

教室に、どんよりと重たい空気が流れる。

あちこちですすり泣く声が聞こえる。

ただ下を向いたまま動かない奴もいる。

信じられないといった様子で、ぽかんとしている奴もいる。




通り魔事件。


俺もニュースで報道されているのは聞いたことがあった。

でも、当人や周りの人間からしたら、そんな5文字なんかで片付けることなどできないくらい、受け止めきれないくらいの残酷な現実だ。