「……俺の好きなやつは、さ。

ミーハーで、恋愛話に目が無くて。いっつも人の相談とか聞いちゃって、的確なアドバイスあげてんのに、自分の恋愛には疎いわけ。

俺がいっつもソイツが好きなやつの話してんの聞いて、どう思ってるかも知らずに俺に話すんだよね。

ホント、なんで好きなのかって感じなんだけどさ……」

一息吸って、京介は続ける。

「でもなんだかんだ言って世話焼きで。友達のためなら自分の気持ちなんか犠牲にしちゃう。

……そんな、お人好しバカなんだよ」

顔を上げれば京介と目が合って。

その瞳が、優しげに、私を見つめていた。

「――なぁ、そんな柚が好きなんだ。俺と、付き合ってくれませんか?」

「……ばか。恋愛相談じゃないじゃん」

口では悪態をつきつつも、自然と口角は上がっていて。

――もし、恋の神様がいるのなら。

この時だけは信じてもいいような気がした。