修一郎が店舗から駐車場に出ると助手席から吉野由利が降りてきた。由利は携帯で友人と話していたので丁度と入れ違いになった。
「先生すいません、ちょっと待ってくださいね。私もすぐ買ってきますから。」

 由利が店内に入ろうとすると先ほど修一郎の隣で袋詰めをしていた女性が出てきた。女性は由利とは面識がないのでそのまま素通りした 。由利は歩き去る女性の後ろ姿を見ていたが突然
「弥生さん。」
と少し大きめの声で女性を呼んだ。
 由利の行動に修一郎がは驚かされたが、さらに驚いたのは女性がすぐに反応して
「あら、私のこと。私は五月(さつき)って言うのよ。」
と返答したことだった。
「ごめんなさい。知り合いと後ろ姿がそっくりだったものですから。」
 由利は五月と名乗った女性にそう言った。
「色男さん、あなたの周りには素敵な女性が多いのね。それとレジの女の子まだ涙声よ。」
「色男はやめてくださいよ。ガラスに映った自分の姿を見てるけど、周りには若いイケメンだらけじゃないですか。」
「そうかしら。あなた結構個性的と言うかアクの強い感じよね。ちょっとキモい雰囲気も癖になりそうみたいな処があるわ。」
 五月は初対面の修一郎に言いたい放題だ。その毒舌に由利は吹き出しそうになったのを抑えた。まるで弥生が修一郎に喋っているように見える。