「なみりん、興梠さんは舞々をどう思ってるのかな。」
「気になってるのは確かね。赤っちが〈私の友達は興梠(コオロギ)さんが好きなんです。〉なんて言っちゃうから興梠さんの投稿にショップのマイヒロインってのが増えたわ。それって絶対舞々だよ。」
 赤川蘭子と棚神成実はラジオ局の近くのカフェで軽い昼食を摂っていた。二人とも今日は用事があるので延岡動と木藤真帆とは別行動だ。

「興梠さんは小説書いてるでしょ。日記みたいな表現だよね。今日は舞々が何してました、みたいな。」
「マイヒロインが舞々だったらショップでずっと見てるのかな。ちょっとストーカーみたいで怖い。」
「逆よ。舞々が興梠さんの周りをうろちょろするから嫌でも目に付くみたい。」
 蘭子と成実の会話は問題となった放送以降急激に増えた興梠修一郎のラジオへの投稿が自然と話題になった。