とはいえ、このままなにもコメントしないのも流れ的におかしい。
だから、その変な空気が起こる前に、誰か、何かっ。

尚太氏!
なんか言うて!

よさそうな話題も思い付かず、気の利いたコメントも考えられないやよいは、神頼みとばかりに尚太に願いを託した。

「てかさあ、この班カップルじゃねぇのお前ら二人だけだから、この際もう付き合っちゃう??ちょうどいいじゃん」


違うわアホー!


たっぷり間を置いて、頭のなかで絶叫してしまった。

「尚ちゃんっ、デリカシー!」

万智が尚太の口を手で塞いで突っ込み、強めに「そんなの言っちゃダメ」と窘めた。
珍しく厳しい口調の万智に驚いたのか、尚太が押し黙る。

「えー、万智むっちゃ可愛いぃ、なっ、見た?総司!!俺の彼女可愛いだろ?!彼女出来たらこういうの味わえるんだぜ!?」

万智の手を口から離し、そのまま恋人繋ぎで日下部に見せつける。

こいつ、あかんやつや。

万智にでれでれで、なんでも可愛いに繋げるとは思っていたがまさかここまでとは想像していなくて、勝手に願いを託したくせに勝手にゲンナリしてしまった。

「なっ?万智には負けるけどやよいっち可愛いし、なんか守ってやりたいくらいにちっさいし、絶対いいと思うんだよ!」

お前それ誉めてんのかバカにしてんのかどっちや。