強いわけではない、強くあろうともがいた結果だった。
そうでなければ、自分を保てなかったのだろう。
言葉が出なかった。
「ごめん、日下部くんのイメージ勝手に作ってた」
謝ることで何かが変わるわけではないけれど、どうしても伝えずにいられなかった。
身勝手な罪悪なんか日下部には重荷だろうけれど。
「構わないよ。そうあるように仕向けてたのは俺だから」
弱い人間となんて、重ねてほしくはない。
だから虚勢を張っていた。
誰にも自分を軽く扱えないように、裏切るとただではすまないと教えるために。
怖いわけでも圧をかけるわけでもなく、ただただ裏切らせない、それだけに神経を注いでいた。
弱い人間はすぐに倒れ、降伏する。
そんな自分、認めるわけにいかない。
自尊心を失わないためには、倒れてなどいられなかった。
「でも、おかげで園村さんに会えたよ」
膝に腕を乗せ、そこに顎を添えた日下部がふんわり微笑んだ。
見たこともなかったそんな無防備な笑顔に、やよいの膨らみすぎた心が破裂しそうに騒ぎ声をあげた。
出会えたことが嬉しい、まるでそう言われたみたいで、泣きそうだった。
「俺さ、ちゃんとした大人があんなに自我を無くすくらいのめり込む恋愛って、どんな力があるのか知りたくて、だから彼女と付き合ってみたんだ」
真っ直ぐ川を見つめ、自分の中の負の感情と対峙するような日下部の瞳は、鈍く夕日を反射させていた。
そうでなければ、自分を保てなかったのだろう。
言葉が出なかった。
「ごめん、日下部くんのイメージ勝手に作ってた」
謝ることで何かが変わるわけではないけれど、どうしても伝えずにいられなかった。
身勝手な罪悪なんか日下部には重荷だろうけれど。
「構わないよ。そうあるように仕向けてたのは俺だから」
弱い人間となんて、重ねてほしくはない。
だから虚勢を張っていた。
誰にも自分を軽く扱えないように、裏切るとただではすまないと教えるために。
怖いわけでも圧をかけるわけでもなく、ただただ裏切らせない、それだけに神経を注いでいた。
弱い人間はすぐに倒れ、降伏する。
そんな自分、認めるわけにいかない。
自尊心を失わないためには、倒れてなどいられなかった。
「でも、おかげで園村さんに会えたよ」
膝に腕を乗せ、そこに顎を添えた日下部がふんわり微笑んだ。
見たこともなかったそんな無防備な笑顔に、やよいの膨らみすぎた心が破裂しそうに騒ぎ声をあげた。
出会えたことが嬉しい、まるでそう言われたみたいで、泣きそうだった。
「俺さ、ちゃんとした大人があんなに自我を無くすくらいのめり込む恋愛って、どんな力があるのか知りたくて、だから彼女と付き合ってみたんだ」
真っ直ぐ川を見つめ、自分の中の負の感情と対峙するような日下部の瞳は、鈍く夕日を反射させていた。