何色かも大きさも分から無いものが降ってきて、恐々キャッチすると手のひらがレジ袋の質感を感じた。
ナイスキャッチと拍手し、ぴょんっと跳ねるやよいの姿はなんて、なんて────
「駄菓子やけどいらんかったら捨てて。今それしかないねん」
言って手を振ろうとするのを寸でのところで止める。
日下部にも止めた理由は筒抜けで、親しくなったと思っていると勘違いされたく無い意図はすぐに理解できた。
それが意地らしくも見え、罪悪感に似たものがこみあげた。
「ありがとう。またね」
「またねはもうはないわ」
徹底した予防線にやよいの決意がこもる。
学校でも会うだろうに、またねのタイミングがない事の方が難しいくらいなのだが。
小走りで帰るやよいをまた見送り、姿が消えたところで投げて寄越された物の正体を覗く。
「きな粉棒…」
渋い駄菓子のチョイスにまた笑みが漏れる。
さわさわと風が吹き、汗ばんだ体の冷えを感じたところで土手を上がり始めた。
まさかこんな事態になるとは、という感情を今さら強く意識してしまい、放課後からの出来事が事細かく思い起こされる。
フった相手と直後にスマホを探し、その相手の頬に触れ、叱られ、お土産をもらう。
なかなかの出来事。
疲れはしたし、自分の時間が減ってしまって残念ではあるが悪い気はしていない。
最後のお土産が効いた。
こんなふうにお礼をされたのは初めてで、だいたいいつも軽くサンキューとかありがとうとかで。
おはようやおやすみと同じリズムと印象のものばかり。
土手を走り降りる女の子を見たのも初めてだったし、あんなふうに人のピンチを救ったことももちろん初めて。
初めて尽くしたった今日に日下部は思いの外満足していた。
ナイスキャッチと拍手し、ぴょんっと跳ねるやよいの姿はなんて、なんて────
「駄菓子やけどいらんかったら捨てて。今それしかないねん」
言って手を振ろうとするのを寸でのところで止める。
日下部にも止めた理由は筒抜けで、親しくなったと思っていると勘違いされたく無い意図はすぐに理解できた。
それが意地らしくも見え、罪悪感に似たものがこみあげた。
「ありがとう。またね」
「またねはもうはないわ」
徹底した予防線にやよいの決意がこもる。
学校でも会うだろうに、またねのタイミングがない事の方が難しいくらいなのだが。
小走りで帰るやよいをまた見送り、姿が消えたところで投げて寄越された物の正体を覗く。
「きな粉棒…」
渋い駄菓子のチョイスにまた笑みが漏れる。
さわさわと風が吹き、汗ばんだ体の冷えを感じたところで土手を上がり始めた。
まさかこんな事態になるとは、という感情を今さら強く意識してしまい、放課後からの出来事が事細かく思い起こされる。
フった相手と直後にスマホを探し、その相手の頬に触れ、叱られ、お土産をもらう。
なかなかの出来事。
疲れはしたし、自分の時間が減ってしまって残念ではあるが悪い気はしていない。
最後のお土産が効いた。
こんなふうにお礼をされたのは初めてで、だいたいいつも軽くサンキューとかありがとうとかで。
おはようやおやすみと同じリズムと印象のものばかり。
土手を走り降りる女の子を見たのも初めてだったし、あんなふうに人のピンチを救ったことももちろん初めて。
初めて尽くしたった今日に日下部は思いの外満足していた。