「なに突っ立ってんの?」
教室の一番後ろ、壁の前にただ突っ立っていたやよいは突然声をかけられ慌てて跳び跳ねる。
「あ、日下部くん、ぉ、おはよう」
声をかけたのは日下部。
「おはよう、先生来るよ?」
それだけ言って自分の席に着いた。
もっとなにか、いや、何も言ってもらえないと思っていた。
覗き見するような気持ち悪い女、そんなふうに思われて、もう顔も見てもらえないのだと思っていたのに。
昨日の事がまるでなかったみたいな日下部の態度にホッとしたような、複雑な思いでやよいも席に着いた。
やよいの心配などよそに、そのまま何も変わらず時間は過ぎ、あっという間に昼休憩に突入していた。
ほんの僅かな解放時間を、どの生徒も全力で楽しんでいる。
日下部もまたいつもと変わらずクラスメイトと雑談をしていて、まとう空気も昨日と同じ。
「むっちゃ怒られるか…、虫けら扱いされると思ってたんやけど…」
廊下の壁にもたれ、顎に手を当てたやよいが教室の中の日下部をガン見する。
日下部が何一つ苦情も言わず、無視をするでもない態度にやよいはまだ居心地の悪さを感じていた。
何もない方がいいはずなのに。
「私も何かしらは言われるかなって思ってたんだけど、拍子抜けだよね」
同じく日下部をこっそり見ていた万智も、なにか解せない様子。
「でもさ、何もない方がいいじゃん。冷たく突き放されるより」
「まぁそう、やん、ね」
自分が日下部の立場だったらどうかと考えても、別になにもしない。
教室の一番後ろ、壁の前にただ突っ立っていたやよいは突然声をかけられ慌てて跳び跳ねる。
「あ、日下部くん、ぉ、おはよう」
声をかけたのは日下部。
「おはよう、先生来るよ?」
それだけ言って自分の席に着いた。
もっとなにか、いや、何も言ってもらえないと思っていた。
覗き見するような気持ち悪い女、そんなふうに思われて、もう顔も見てもらえないのだと思っていたのに。
昨日の事がまるでなかったみたいな日下部の態度にホッとしたような、複雑な思いでやよいも席に着いた。
やよいの心配などよそに、そのまま何も変わらず時間は過ぎ、あっという間に昼休憩に突入していた。
ほんの僅かな解放時間を、どの生徒も全力で楽しんでいる。
日下部もまたいつもと変わらずクラスメイトと雑談をしていて、まとう空気も昨日と同じ。
「むっちゃ怒られるか…、虫けら扱いされると思ってたんやけど…」
廊下の壁にもたれ、顎に手を当てたやよいが教室の中の日下部をガン見する。
日下部が何一つ苦情も言わず、無視をするでもない態度にやよいはまだ居心地の悪さを感じていた。
何もない方がいいはずなのに。
「私も何かしらは言われるかなって思ってたんだけど、拍子抜けだよね」
同じく日下部をこっそり見ていた万智も、なにか解せない様子。
「でもさ、何もない方がいいじゃん。冷たく突き放されるより」
「まぁそう、やん、ね」
自分が日下部の立場だったらどうかと考えても、別になにもしない。