筒抜けになったことに後悔した自分が嫌で嫌で、また後悔するのだ。

好きでおってもええんですか?

それは聞けない。
好きになるのも止めて、とは、言われたくないから。
そうなったらもう、どうやって失くせばいいのか分からないから。

「しかたなしやで?」

「はいはい」

強がりで返した上から目線に、日下部もまた上から目線で答えた。

「サボったのなんか初めてや」

膝枕から解放されたやよいが、コンクリの壁にもたれて空を見上げる。
日下部も隣に腰を降ろし、眩しい太陽の光に目を細めた。

「俺も」

「ええ天気やね」

何故か泣きそうだ。
日下部の初めてが、自分の初めてと重なって。
それだけなのに嬉しくてこそばゆくて、泣きそうになる。

「影送りって知ってる?」

青い空を見上げて、その眩しさに目を細めつつ、あの頃の失恋の痛みも知らず無邪気に騒いでいた自分と、今ここにいる事への甘酸っぱさが妙に似ていて、なんだか切なくなってしまった。
日下部も空を見上げ、心なし空気が緩んでいるようにも感じた。

「あー、小学生の時やったかも」

「日下部くんの小学時代………」

そこで一旦止めて、想像してみる。

どれも鬼畜や。