だけど日に日に弱っていき、祖父は私と誠吾さんが結婚して三ヶ月後に亡くなった。

 祖父の最期を誠吾さん、私たちの関係を知っている三つ下の弟の篤(あつし)さんとともに三人で看取ることができた。
 祖父の意向で家族葬となり、私も参列することを許された。

 たった三ヶ月しか過ごしていない私でさえ、涙が止まらなかった。篤さんも涙を流す中、誠吾さんだけは喪主としての務めを最後まで果たしていた。

 葬儀を終え、疲れているはずなのに彼は私をマンションまで送り届けてくれた。車内ではお互い口を開くことはなかったけど、彼の横顔を見るたびにつらそうで泣きそうになってしまった。

到着後、地下駐車場に車を停めた彼に私はたまらず声をかえた。

「誠吾さん、大丈夫ですか?」

「あぁ。今日はありがとう。じいさんも凪咲に見送ってもらえて喜んでいたと思う」

 そう言って笑っているけど、無理しているのがバレバレだ。

 私は身内を亡くした経験をしたことがない。それなのに誠吾さんは両親と祖父を亡くしている。そんな彼の気持ちを思うと胸が押しつぶされそうなほど苦しい。

「あと少しでご両親の離婚も成立するし、今後についてはできるだけ早くに決めよう」

 こんな時まで私のことを考えなくたっていいのに。