「……と、びっくりした」

 思いっきり抱きついたものだから彼は尻餅をつきながらも、しっかりと私を抱きとめてくれた。

「いつかじゃなくて、今すぐがいいです」

「えっ?」

 ゆっくりと離れて驚く誠吾さんを見つめる。

「私も誠吾さんのことが大好きです。今度は契約じゃなくて本物の夫婦に……家族になりたいです」

「凪咲……」

 この瞬間を想像するたびに緊張していたのに、好きって気持ちが溢れて止まらない。

「いつも助けてもらってばかりなので、もっともっと強くなって誠吾さんを支えられるようになりますね。誠吾さんとは助け合い、支え合いながら家族になっていきたいんです」

 守られてばかりでは嫌だ。同じくらい彼にも一緒にいることで安心してもらえるような、そんな存在になりたい。

 その思いで伝えたものの、答えがない。

「誠吾さん?」

 フリーズする彼の名前を呼んだ瞬間、腕を引かれて思いっきり抱きしめられた。

「わっ!?」

 びっくりして色気のない声を上げても、誠吾さんは抱きしめる腕の力を緩めない。