「あぁ、俺もだ。偶然の出来事だったけど、そのおかげで俺は運命の相手と出会うことができたんだから」

 ドキッとするようなことを言って誠吾さんは繋いだ手を離す。次に彼は私に向かって跪いた。

「えっ!? 誠吾さん?」

 遅い時間とはいえ、歩道では多くの人が行き交っている。誰もが足を止めて視線が集まる中、誠吾さんは真っ直ぐに私を見つめた。

「じいさんの葬儀の日、凪咲に家族だって言われた時から俺はお前に惹かれていたんだと思う。想いは募るばかりで、再会できた時はどんなに嬉しかったか……。同じ時間を過ごす中で気持ちは大きくなっていった。こんなにも好きだと思える相手は正解で凪咲ひとりだけだ」

「誠吾さん……」

 再会してから前にも好きだと言われたことがあるけど、自分に自信がなかったし半信半疑だった。だけど今は違う。誠吾さんの言葉に嘘はない、愛されているんだって信じることができる。