「よし、じゃあ少し寝ろ」

「ええっ? わっ!?」

 抱きかかえられたと思ったら、誠吾さんは真っ直ぐに寝室に向かい、私をベッドに下ろした。そして布団をかけると髪をクシャッと撫でた。

「おやすみ」

「あの、誠吾さん私、眠くなんて……」

 しかし私の話など聞かず、誠吾さんは明かりを消して寝室から出ていった。

 もう、なんて勝手な人だろうか。本当に眠くなんてないのに。むしろ寝ている場合じゃない。早く誠吾さんに好きって伝えないと!

 起き上がってベッドから降りようとしたけど、きっと誠吾さんのことだ。さっきの調子でベッドに私を戻すだけだろう。

 布団を被り、瞼を閉じる。すると眠くなかったはずなのに、急に睡魔が襲ってくる。

 そういえばいつも国際線乗務から戻ってからは、半日は眠っていた。誠吾さん、それを覚えてくれていたのかな。

 誠吾さんと過ごす時間は限られているから寝たくないのに、睡魔には勝てず眠りに落ちてしまった。