「ほら、早く行くぞ」

「……はい!」

 すぐにあとを追うと、誠吾さんはスーツケースをトランクに積み、助手席のドアを開けてくれた。

「ありがとうございます」

 お礼を言って乗り込むとすぐに誠吾さんも運転席に回り、車を発進させた。

 久しぶりに誠吾さんの運転する車に乗ったからか、至近距離に緊張してしまう。だけど相変わらず運転する横顔はカッコいい。

 そんなことを考えている間に着いた先は誠吾さんのマンション。しかし部屋に入るや否や、背中をぐいぐい押された。

「え? あの誠吾さん?」

「いいから風呂沸かしてあるから入っておいで」

「お風呂ですか!?」

「あぁ、その間に軽く食べられるものを用意しておくから、食べて少し休むといい」

 勝手に話を進めて誠吾さんは無理やり私をバスルームに押し込んだ。

「え? どういうこと?」

 私、今日は誠吾さんに想いを伝えるつもりでいたよね? それなのにこの展開はなに?

 とりあえずお風呂に入って出ると、本当に誠吾さんがサンドイッチとスープを用意してくれていた。

「おいしい」

「それはよかった。足りなかったらもっと作るから言って」

 私の食べる姿を満足げに見ながら、飲み物がなくなったら注いでくれたりと至れり尽くせり。