「な、舐めるな!」

思わず悲鳴を上げそうになった莉奈とは違い、囮となっていた麗奈の機体はビームマシンガンを至近距離からぶっぱなした。

「馬鹿が!相討ち狙いか!」

オバマにも、数発ビームが着弾したが、それよりもミサイルとビームマシンガンの直撃を受けた麗奈の機体は、ばらばらに吹っ飛んだように見えた。

「無謀は、勇気ではないぜ」

ガイはにやりと笑うと、莉奈の機体に向き合い、フィギュアの身を反転させようとした。

しかし、それは…かなわない動きだった。

海に向かってバラバラになって落ちたのは…フィギュアの装甲だった。

「フ、フィギュアの中から!フィギュアだと!?」

驚くガイの目に、細身の人形のようなフィギュアが映る。

「あたしのフィギュアを!舐めるな!」

特務型フィギュア…シノビ。

各種装甲や外観を変えることで、あらゆる環境に順応することができるように、開発されたフィギュアである。

しかし、シノビ本体の装甲はブシよりも劣る。

だが、その為…軽量化したボディは、スピードを増していた。

空中で一気に間合いを積めると、シノビは両手に装備されたトンファーに似たレーザブレイドを回転させて、オバマの首筋と腰の辺りに突き刺した。

「に、日本のオタクドールが!」

ガイは即座に、後方へ下がるようにブースターを点火していたが、シノビの刃をかわすことはできなかった。

「女の秘密を晒したんだ」

さらに、後方には莉奈がいた。

「な!」

ガイが、振り返る間もなく…莉奈のフィギュアから放たれたビームによって、ユーテラスを撃ち抜かれ、絶命した。

「リ、リサ…」

最後に呟きを残して。


「は…は…は…」

深く何度も息をする莉奈の手は、ユーテラス内で汗だくになっていた。

「まったく」

莉奈のフィギュアの前に、麗奈のシノビが止まった。