「ただの島国だった日本。武力を持たない国…日本」

と言ってから、赤毛の男は手の甲を額に当てて、笑いだした。

「あははは!十数年前までは、敵国に囲まれながらも、武力を削減する国でしたのに!今じゃあ、誰かがジャパンと呼んだだけで、攻撃目標になる!やれやれ〜ちょっと前までは、勝手につくられた名前を平然と使っていた癖に!ジャパニーズと!」

笑いが止まらない赤毛の男に、白い軍服を着た男はため息をつきながら、たしなめた。

「あまり日本の悪口をいうな。どこに回線が繋がっているかわからんからな。レクイエムによって、あらゆる回線…電波すらもジャックされているんだ」

「お言葉ですが…准将。その為に、我々は独自の通信システムを構築したはずですよ」

赤毛の男は、いたずらっぽく言うと、コーヒーを一口すすった。

「あれは、秘匿回線だ。あることも口にしてはならん!」

眉間に皺を寄せた准将を見て、赤毛の男はコーヒーカップをディスクに置いた。

「そうでしたね」

そして、再びパソコンを覗き込み、

「順調ですね。後は、武装するだけです」

キーホードを叩いた。

「…ゴフォン」

一度咳払いをしてから、准将は話を変えた。

「こいつは、ヒューマンタイプになるのか?」

「ええ」

赤毛の男は頷き、

「ブシは、ヒューマンタイプですよ。噂されている新型の量産機も、人型だときいていますよ」

ディスプレイに映る機体の武装を選び出した。

「そうか…」

准将は少し肩を落とし、

「できれば…バードタイプか、海洋タイプがよかったのだが」

落胆した。

オリジナルフィギュアであるレクイエムは、人型であった。

それ故に、量産機はヒューマンタイプが多い。

レクイエムとともに、世界を破壊した四体のフィギュアは、人型ではなかった。獣型といわれる大和。昆虫型といわれる隼。亜門型の雷電…鳥型の白鷺。

五体目のフィギュア…海洋型の陸奥。

これらのフィギュアを元にして、量産機は作られている。


「フェーン小佐が乗っていたのは、バードタイプだ」

准将はもう一度、ディスプレイを見た。