(――にしてもだ)

パイロットルームに戻った河村は、ベッドの上に横になり、天井を見つめながら、考え込んでいた。

(まだ正式には、公表されていなが…6番目のオリジナルフィギュアのパイロットは、一般人ということになる。だが、一般人がフィギュアに乗れないことはない。オリジナルフィギュアならな)

河村は、目を細めた。

(なぜならば、最初の愛され人は…一般人だった)

ゆっくりと上半身を上げると、ベッドの横の壁にもたれた。

(だとそれば、6番目に入ってる彼は、3人目の一般人になるのか)

考え込んでいると、河村は少し手が震えていることに気付いた。

電話がかかってきたのだ。

レクイエムにより、破壊されたネットワークは、日本主体で再構築はされていたが、オープンかつ無限と思われていたインターネットは、すべて日本によって…いや、レクイエムによって管理されていた。

その為、テラなどはインターネットを使うことはほとんどなくなっていた。

生き残った民衆は、相変わらず使っていたが…すべて閲覧されていることを前提としながら、利用していた。

そして、日本軍もまた、インターネットを使わずに、独自のネットワークをつくり、それを使用していた。

「はい」

あくまでも話すだけをメインにした為、指先と耳に錠剤くらいの機械つけるだけとなった電話は、何をしなくても、口を開くだけで会話ができた。

「はい。どうやら一般人のようです。それは、間違いありません」

河村の言葉に、回線の向こうで頷いたのは、上杉正継であった。

「そうか…引き続き、調査を頼むよ」

「はい。また何かありましたら、ご報告します」

上杉の声に頷くと、河村は電話が切れるのを確認してから、息を吐いた。

「ふう〜。まさか本人からあるとはね」

レクイエムの破壊の後、新たなネットワークを構築したのは、上杉であった。

日本軍専用の回線。さらに、日本国民の為の回線。

そして、自分の仲間の為の秘匿回線。

「やれやれ」

河村は天井を見上げた後、部屋の奥にある窓ガラスに目をやった。