「敵のオリジナルフィギュア、最後の一体が目覚めた。しかし、その機体はまだ経験値を積んでいない」

テラ最大の軍事基地と化したハワイ。

真珠湾攻撃で有名なパールハーバーは、対日本製フィギュアの開発と研究の為の施設が作られていた。

霧島が開発に関わった明智、ノアとは違うチームが組まれ、新型のフィギュアがつくられていた。

ノアの前に、テラの主役機とあったオバマは、初のコアを使ったオリジナル機体であったが、日本軍のブシに比べて明らかに劣っており、期待とは裏腹に、大した成果を上げることはできなかった。

粗悪なコアを使ったことが、原因であった。

しかし、オバマの制作によって得た経験は、次のフィギュアへの開発に生かされることになった。

ブシに合わせた、バランスの悪い二足歩行を捨て、独自のスタイルに切り替わっていた。

コアのシステムをあくまで駆動系に限定することで、その他は既存の兵器でまかなうことになった。

四足歩行となった…新型の量産機ドッグなど、ベースである人型にパーツを組み合わせることで、火力や機動力を大幅にアップしていた。

新型フィギュアが次々に搭載されていくデッキ内で、手摺にもたれながら眺めていた金髪の男に、後ろから同じく金髪のフェーンが近付いていた。

「新型か…」

コンテナに載せられて運ばれていく四足のフィギュアを見て、フェーンは目を細めた。

「開発の速度が早いな」

フェーンの言葉に、手摺にもたれていた男がこたえた。

「数を集めたいのさ。圧倒的な物流で、ジャパンを圧倒する。やり方は、第二次世界対戦と同じさ」

オリジナルフィギュア達が、世界の主要基地を破壊したとはいえ、あれから15年経っていた。

再び武器をつくり、力をつけるには十分であった。

世界中の人々が、テラを支援していた。

ハワイに基地をつくったというのに、日本が破壊に来なかった理由もわかっていた。

人員不足である。

15年前までは、自衛隊しかなかった国が、世界中を相手にする軍隊をつくることなどあり得なかった。

しかし、それでは…世界連合であるテラが、日本に総攻撃をかけない理由とは、何か。