あらゆる攻撃から、その身を守る為に。

全身が、白い真珠のような鎧に包まれ、ブロンドの髪だけが重力に逆らうように、逆立っていた。


「あの髪から、通信を遮断する電波が出されているのか」

オリジナルフィギュアの全身を、ユーテラスの中でスキャニングしたフェーンは、機体の背中につけられたビールキャノンを地上に向けた。

「普通の機体なら、墜落されていたがな!」

機体を下に向けると、ノアに向かって立つオリジナルフィギュアに、照準を合わせた。

「させるかよ!」

河村は、機体を滑らすと、フェーンの前に出て、マシンガンをぶっぱなした。

「フッ」

フェーンは笑うと、スピードを一気に上げ、ノアの横を通り過ぎた。

「な」

河村が見失ったと思った時には、黄金の鳥から放たれたビームは、オリジナルフィギュアを直撃していた。

しかし、オリジナルフィギュアには傷一つもつかない。

「トニー!今の内だ!離れろ!」

通信が繋がっていないが、フェーンの行動を理解したトニーは、機体を起き上がらせた。

「すいません…少佐」

そのまま離れようとした瞬間、機体は再び地面に押し付けられた。

「な!」
「え!」

瞬きの間で、オリジナルフィギュアは距離を詰め、ノアの頭を掴むと、強引に背中から倒したのだ。


「仕方あるまい。彼女は目覚めたばかりだ…」

老人は、頭を下げた。


「どうなっている!?」

信じられない程の握力で、オリジナルフィギュアはノアの頭を握り潰した。

その為、痛みは共有していないが、トニーの視界は失われた。

ユーテラスの中で液体に包まれた…自分の目でしか見ることができなくなった。

ブースターを起動させて逃げようとしても、ノアはオリジナルフィギュアに押さえつけられて、身動きできない。


「そうじゃ…彼女の目的は!」

老人の目の前で、オリジナルフィギュアは二本の腕で、ノアを押さえつけたまま、口を…ノアの腹の下に持っていった。

そして、そのまま…ノアの装甲を噛んで剥がすと、露になった表面の肉に似た物質に口を近付けた。