奇しくも、その最初の爆撃地が、沖縄になってしまった。




「うわああっ!」

基地を囲むフェンスのそばにいたコウ達は、爆風に飛ばされ、地面を転がった。

「な、何があったんだ!?」

数メートルフェンスから離れて、止まった友人は、基地内を見た。

基地の奥から、白煙が上がっていた。

「コウ!これは、ヤバいぜ!さっさと逃げよう!」

身を屈めながら、走ろうとする友人の目に、砂煙の中でも堂々と立ち、空を見上げるコウの姿が飛び込んできた。

「コウ!馬鹿!頭を下げろ!」

友人の言うことも耳に入らないコウは、空の一点を見つめていた。

「来る!」

先程基地を爆撃した機体を、コウは確認できていなかった。

真っ直ぐに、基地だけを見ていたのにだ。

「!」

コウは目を細め、晴天の空を見つめた。

姿は見えないが、あり得ない光の乱射が、空に輝いていた。

そして、真っ直ぐに急降下してきたものを、コウは瞬きをせずに、見つめた。

耳を貫く振動、空気の塊が、地上に立つコウを一歩後ろに下がさせた。

「黄金の鳥…」

コウは、目を見開いた。

姿を確認したのは、一瞬であった。

黄金の鳥は、コウ達の上を通り過ぎた。そのコンマ零秒後、再び基地が爆発した。




「どうなっている!」

基地の真ん中にそびえる建物の中にある管制室で、司令官が叫んでいた。

「レダーに反応ありません!しかし、目視したものによれば、黄金の鳥がどこからか現れたそうです!」

オペレーターの報告に、司令官の顔が青ざめた。

「お、黄金の鳥だと!?ば、馬鹿な!」



「敵襲だ!」

「ハッチを開けろ!」

河村がいる格納庫に、緊張が走る。

「フゥ〜」

河村は、コクピットに入るとため息をついた。

ユーテラスと言われるコクピットは、通常兵器のような操縦桿はない。

フィギュアは、コアから侵食した神経のようなものが可動系を司っている。

故に、コアと同化し、動かすのである。