亜賀座くんは急にそんな事を話し始めた。私が不思議に思っていると、彼は話を続ける。


「でも、本当は嫌だったんだ……」


 そこまで言うと一旦言葉を止めた。そして大きく息を吸ってはいて。




「藍乃さんと離れたくなかった……今も、同じ気持ち」




「――え……?」

「キミが好きって事だよ」


 亜賀座くんが、私を好き……?

 突然の告白に頭が混乱する。


「え……?! えっあの、でも……私……」

「分かってる……キミが誰を好きなのか、知ってるよ。だから不知火に宣戦布告したんだ」


 亜賀座くんは立ち上がるとテーブルをぐるりと回り私の隣へ。しゃがんで床に膝を着いた。


「今度の勝負、不知火には勝つつもりでいるよ。だからその時は、雲竜の姫……僕の彼女になって欲しい」


 床に膝を着いているから、少し低い位置から私を見上げる亜賀座くんの瞳と目が合った。その真っ直ぐな視線から逃れられない。


 ――強い、強い、真っ直ぐな想い。


 ……ああ、凄いなぁ、亜賀座くんは。こんなに素直に気持ちをぶつけられて。

 私には出来なかったよ……

 凪は私の事、ただの幼馴染みだと思ってるみたい。告白しようとするとはぐらかされるから。