ぐちゅり、という気味の悪い音と共に、ゾンビによってその人の腕が食いちぎられた。


その一部始終を観た私は、再度大声を出してソファーに深く沈み込んだ。


怖い、怖すぎるけれど面白い。


これだから嫌なんだ、ホラー系の番組は…!


「何か、紫苑ちゃんの反応面白くて好きなんだけど僕」


そんな事を考えながら顔を顰めていると、上から皮肉めいた笑い声が降ってきた。


「笑わないで下さいよ、こっちは真剣なんですからね!?」


私が涙目になりながら彼に反論したその時。



「俺も見ていいんだよねこれ?」


「うん。はいハサミ」


「あざす」


いきなりママの手料理と家を繋ぐドアが開き、そこから大也と湊さんの声が流れ込んできた。


私達がホラードラマを観ているのもお構い無しに電気をつけ、2人してカウンターに肘をついて何かの封筒を開封している。


「あのー、僕達ドラマ見てたんですけどー?今の雰囲気ぶち壊した自覚あるかなー?」


リモコンの一時停止ボタンを押した仁さんが、いつものように2人に文句を言いかけた。


(流石仁さん、頼もしい!)


しかし、今回は状況が異なっていた。


「あーごめん。ってか、仁もこれ見ていいと思う。来なよ」