「伊織が十分反省したのは分かってるし、今回それを行動で示してくれたでしょ?伊織が居なかったら、俺は地面に落っこちて100%死んでたんだから」


頭蓋骨割れて即死だね、と高らかに笑った彼は、しゃがんで伊織と目線を合わせる。




「助けてくれてありがとう。おかえり、伊織!」




その言葉は太陽よりも温かく、月よりも明るく光り輝く。


「っ…!」


愕然と目を見張った伊織の目から滝の如く涙が溢れ出し、


「やだ、何で泣くの?ねーこっちまで伝染しちゃう!ちょっとティッシュ…ねえティッシュ何処よ!?」


自分より歳上のメンバーの頭をよしよしと撫でた彼はティッシュを求めて辺りを見回し、大声で叫んだ。


「仕方ねぇ、お前にはパソコンを持ってきてもらった借りがあるからな。また情報屋としての役目を負わせてあげない事もない」


「別に、そうやって遠回しに言わなくても良いんじゃないかな?まあ僕としては、お店の経営が立ち行かなくなるのが心配だから戻ってきて貰えて有難いけどね」


続いてベッドに仲良く腰かけた年上組が交互に賛同の声を上げ、俺の真似すんな、等と小さく小競り合っている。



「伊織…」


私はすっくと立ち上がり、航海の袖を掴んだまま彼の元へと向かった。


「え、もしかして僕飼い犬か何かですか」


等とぼやく殺人サイコパスの声は、完全に無視だ。



「伊織、助けてくれてありがとう」



もっと他に言いたい事はあったのに、いざ嗚咽を漏らして泣く彼の姿を目の当たりにすると、出てくる言葉はこれしかなくて。