「やー、幸せ過ぎてさっきから涙止まらないよ…もしかして、俺一生分の涙使い果たした系?」


「知るかそんなもん」


「わっ、何て酷い!でも、やっぱり琥珀大好きだぁ」


(……)


目の前で、いきなり仲睦まじい姿をこれ見よがしに見せられても困るのだが。


愛する人の手を取って立ち上がらせた大也は、お互いに目を合わせてリーダーの元へ向かう。


「お疲れー!パンケーキ頼んだよ!」


「お前のおかげで、今回も無事に盗みが成功したな」


今までの多大なる緊張が解けて仁さんの胸に頭を押し付けたままのリーダーに、2人が労うように明るい声を掛ける。



「お前ら、最後までハッキングと華麗な闘いを続けた俺も褒めろ」


「銀河さんは、今回の盗みにおいてMVPだと思います。おめでとうございました」


「過去形やめろ」


男達がリーダーを囲む様に立っている横で、銀ちゃんと航海がしょうもない会話を繰り広げて声を抑えて笑っていた。



(あ、もしかして私また忘れられてる?)


檻の中に入った女子の存在など、皆の眼中には無さそうで。


「何これ、私だけ未だに出れないんだけど…」


もう脱出方法を考えるすら億劫で、いっその事此処に食べ物を持ってきてもらって暮らすのもアリだな、なんて冗談めかした事を考え始めた矢先。