…死ぬ時って、あんまり痛くないんだね。


てっきり爆発で身体が吹っ飛ぶものだと思っていたのに、最早何も感じない。


もしかしたら、私の家族も死ぬ時は痛みを感じなかったかもしれない。




(皆、一緒に居るよね、?)


自分の呼吸音も心臓の鼓動も聞こえない世界の中で、私はゆっくりと目を開き。


「あれっ……」


目の前にあると思い込んでいた三途の川がない事に気付き、目を泳がせた。



「…死んだ?俺死んだ?ありゃりゃ、死んだ時って現実と変わらない場所からスタートする感じなの?」


私の声に反応した大也がぱちりと目を開け、繋いだ手をそのままにして大きめの独り言を零す。


「ねえ琥珀、俺ら死んだっぽいよ!早く挙式したいんだけど、一瞬で教会までワープとか出来ないのかな」


檻の外側でぶんぶんと琥珀の腕を振った大也は、ゲーム内とあの世を完全に混同させた台詞を吐き。


「痛えつってんだろ馬鹿野郎、折れたらお前のせいだからな!?」


怪我した左手に激しい痛みが走ったのか、カッと目を見開いた琥珀は痛みに任せて大声をあげた。


「死んでも痛みって感じるものなの…?」


顔を歪める琥珀と謝る大也を交互に見つめた私は、不安になってぽつりと呟いた。


もしこのまま痛みを感じ続けるなら、死んでしまった私の家族は報われないではないか。