「私、どうしたらいい…?」


再び鉄格子の隙間から手を出して大也と手を握りつつ、私が小さく尋ねると。



『…爆発まで残り1分もないから、とにかく皆は爆弾からなるべく遠くに離れて欲しい。紫苑ちゃんは檻ギリギリまで下がって、頭を抱えて』


揺らぎのない声が、私達の鼓膜を震わせた。


『部屋から出れる人は出て、今すぐ下の階に降りて。解体成功と爆発、どっちが早いか本当に分からないんだ』


自分の焦りを悟られないようにしているつもりだろうけれど、全てが見えている伊織が1番恐怖に襲われている事は丸分かりで。


『カウントダウンするよ。48,47,46……』


「下降りたい人、今すぐ降りて!…皆、こんな事になっちゃって本当にごめん!」


カウントダウンが始まった事で、皆の中でも爆発がようやく現実味を帯びてきたらしく。


湊さんはリーダーらしく最後の指示出しをして、今回で何度目かになる謝罪をした。


「やばいよやばいよ!紫苑ちゃん、最後まで俺と手繋いでよう!生き延びたらパンケーキ、死んだら一緒に三途の川渡ろうね!?」


大也は逃げる気は無いらしく、大丈夫大丈夫、とうわ言のように繰り返しながら私の手を固く固く握り締めた。