「えっ、」


視界の端、首を傾げて湊パパの方を怪訝そうに見た航海の動きが止まったのが見える。


「ぎゃっ、湊撃たれ……!?」


時間差でリーダーの危機に気付いた大也が彼を護る様に抱き締め、その背中越しに湊パパを見て声を失った。


(え…?)


明らかに様子のおかしい家族の方を見ている私の鼓膜を再び揺らしたのは、


「湊はお前の息子じゃなくて、怪盗mirageの父親なの。因みに僕は母親ね。間違えないでくれるかな?」


何処か人を小馬鹿にしていて、やたらと自分を格上に置きたがるあの声で。


(嘘、そんなはず、……)



だって、死んだんじゃないの?










「仁さん、………!」










ゆっくりと目を横にずらすと、歪んだ視界の中、椅子に座っている湊パパの背後から彼の首元にナイフの刃を当てている男の人が目に入った。


そのキャラメル色の髪、血で赤く染まったリストバンド、そして、こちらを見て細められる綺麗な瞳。







「怪盗mirageに歯向かうなんて、100万年早いからね?」







壱さんかと勘違いしてしまう程の低い声で怪盗フェニックスのリーダーを脅した仁さんは、がっちりと彼をホールドしたまま顔を上げて微笑んだ。



「ドッキリ、大成功かな?」