琥珀1人で闘うのは不安要素しかないけれど、そこに俺が居るだけでも話は大きく変わってくる。


彼が転んだら助けるし、一緒に居ればお互いの怪我もカバー出来る。


これぞまさしく、“2人で1人”だ!



俺の提案を受けた怪我人は、目を閉じて考える素振りを見せた。


本当はそんな事をしなくても答えは決まっているはずなのに、嫌らしい奴である。


そして、目をゆっくりと開いた彼は俺の目を見つめ、


「…お前、俺の足引っ張ったら後で殺すからな」


賛成と取れる台詞を憎々しげに吐き出した。


(はい最高!好き!結婚結婚!)


その一言で俺の視界は華やかに色付き、怪我の痛みなんて吹っ飛んでしまう。


彼と共に闘うのはOASIS決戦の時以来だから、身体に流れる全血液が興奮で騒いでいるのが分かる。



「足なんて引っ張んないよ、大丈夫!琥珀と一緒なら何も怖くない」


はち切れんばかりの笑みを浮かべた俺の言葉を聞いた琥珀は、一瞬だけ目を見開き。


「…そうか」


こんな恐ろしい闘いの場には似合わない、優しい笑みを浮かべた。








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「行ってらっしゃい、気を付けてね」


「ありがと、そっちも!後から参戦してねー!」


航海と同じ20階の窓から中に入って手を振ってくる大也に、早川 伊織はそっと手を振り返した。