「待って琥珀、大丈夫なのそれ…?もし足すくいとられたらやばいんじゃ、」


俺は、思わず顔を青くして口を挟んだ。



琥珀は、自分の右腕が動かせなくなって以来、右手でものを掴んだことがない。


いくらガムテープで止めると言ったって、リスクが高い事には代わりはない。


それに、骨にヒビが入った状態で引き金を引くなんて、余計怪我を悪化させるだけではないか。


俺は片足をかばいながら闘えるけれど、それとこれとはわけが違うのだ。



「…なら、」


伊織にナイフを握らされ、きつくガムテープでその場所を巻かれている琥珀が、ぎろりと俺の目を睨み付ける。


「他に何が出来んだよ?此処で黙って指くわえて待ってる訳にはいかねぇだろうが」


「それはそう、だけど…」


大好きな人からの正論に、誰が口答え出来るというのか。


全く言い返せない俺は、頭をガシガシと掻きながら考え込み。


「…あ!分かった!」


数秒後、頭上で豆電球が煌々と点いたのを感じた。


「琥珀、俺と一緒に闘おう!俺も足やられちゃってるし、怪我人同士助け合えるよ!」


俺の明るい声は夕焼けが広がる空に吸い込まれ、このカゴに乗っている2人が同時に俺の方を向いた。


(俺ってやっぱり天才?琥珀は闘える、俺は大好きな人と一緒に居れる…ウィンウィン過ぎて萌えちゃう)