「俺に、言いたい事、が、あるって……最期の最期、髪を褒めてくれたけど、…それが本当に言いたかった事かは、分かんないっ…」
仁の死に目に立ち会った彼はとうとう我慢の限界に来たのか、手で顔を覆ってわんわん泣き出した。
本当ならそんな彼の背中をさすりたいところだけれど、生憎手が動かなくて叶わない。
琥珀の代わりに、同じく地べたに座り込んでいた伊織が彼の肩を抱き寄せた。
「…仁さんが死ぬなんて…有り得ないですよそんなの、嘘です」
すっかりサイコパスに変貌したはずの航海が、顔を歪めてそう吐き出したのを、琥珀はぼんやりと眺めた。
(……俺も嘘だって思いてぇよ)
しかし、声の限りに泣き叫ぶ大也と貰い泣きをしている伊織を見る限り、仁が死んだ、という事実は紛れもない事実なわけで。
(大喧嘩したまま逝くなんて…そんな事あっていいのかよ、)
1人残された琥珀の心にひしめくのは、強大な虚無感と罪悪感。
しかも、仁がわざわざ人格交代したのは大也の髪を褒める事が目的ではないはずだ。
きっと彼は、自分が大也と血の繋がった兄だと伝えたかったのだろう。
琥珀に責められ、紫苑に背中を押され、言えるのは今しかない、と自分を奮い立たせて。
大嫌いな盗みの場に姿を現す程の一大決心をしたのも関わらず、まさか撃たれるなんて…。
仁の死に目に立ち会った彼はとうとう我慢の限界に来たのか、手で顔を覆ってわんわん泣き出した。
本当ならそんな彼の背中をさすりたいところだけれど、生憎手が動かなくて叶わない。
琥珀の代わりに、同じく地べたに座り込んでいた伊織が彼の肩を抱き寄せた。
「…仁さんが死ぬなんて…有り得ないですよそんなの、嘘です」
すっかりサイコパスに変貌したはずの航海が、顔を歪めてそう吐き出したのを、琥珀はぼんやりと眺めた。
(……俺も嘘だって思いてぇよ)
しかし、声の限りに泣き叫ぶ大也と貰い泣きをしている伊織を見る限り、仁が死んだ、という事実は紛れもない事実なわけで。
(大喧嘩したまま逝くなんて…そんな事あっていいのかよ、)
1人残された琥珀の心にひしめくのは、強大な虚無感と罪悪感。
しかも、仁がわざわざ人格交代したのは大也の髪を褒める事が目的ではないはずだ。
きっと彼は、自分が大也と血の繋がった兄だと伝えたかったのだろう。
琥珀に責められ、紫苑に背中を押され、言えるのは今しかない、と自分を奮い立たせて。
大嫌いな盗みの場に姿を現す程の一大決心をしたのも関わらず、まさか撃たれるなんて…。