此処がクレーン車のカゴの中だという事も、怪盗mirageの3人が集結している事も理解出来ない程気が動転している彼は、その場によろよろと座り込んで両手で頭を抱えた。


「何であんな所に居たんですか?夕日でも見ようと思ったんですか?」


そんな中、航海が絶対にこの雰囲気にそぐわない内容を含む質問を投げかけ。


「…違う、怪盗フェニックスの女の子と闘ってたんだけど思ったより強くて、仕方なく外に…。遠くにパイプが見えたから、一か八かの勝負で飛び移ってみたんだけど、そしたらそこから動けなくなって……」


(お前も馬鹿か、普通飛び移らねぇよ)


琥珀は、心の中で静かに突っ込んだ。


「それで、そもそも何で女の子と闘ってたかって言うと、」


そこで、俯いていた大也は勢いよく顔を上げた。



「仁がっ………!」



何かを思い出したのか、瞳孔が小さくなった彼の目は真っ直ぐに琥珀の瞳を捉えた。


そのまま何かを言いかけたはずの彼は口をつぐみ、代わりにその表情が一気に緩んでいく。


「あれ?うっそ琥珀じゃーん!何してるのさ、もしかして俺の事助けてくれたの?最高大好き!」


表情筋が緩みっぱなしの彼は、心から嬉しそうに目を細めて笑顔を浮かべた。