「い"やあぁああ!怖い怖い無理!そっち行けない無理!」


大也は声を枯らす勢いで叫び倒し、


「しっかり掴んでますから大丈夫です。さもないと、このままずっと此処に居る事になりますよ」


航海は、相変わらずの声のトーンで彼をなだめていた。


大也は相当なパニック状態に陥っているのか、最早誰が自分の手を握ってくれているのかすら把握していないようで。


「そう、そのまま右足持ってきて!次、左足!」


「だああああ左足痛い!引っ張り上げてお願い!死にたくないです神様あああ!」


「なら1,2,3で引っ張りますよ、良いですね?」


2人が何とか大也を助けているのを、琥珀は1歩下がって傍観していた。


自分も助けたい気持ちは山々だが、何せ両手が使えないから足でまといになるだけなのである。


(……)


闇夜に紛れそうな程に黒い目で彼らを見つめながら、琥珀は下唇を噛み締めた。




それからすぐ、大也の救出作業は無事に成功する運びとなった。


「ああああまじやばい、あんな所に命綱無しで…足も手もガクブルだったんだけど!本気で死ぬかと思った!」


その言葉通り、クレーン車の中に転げ落ちるようにして入ってきた大也の身体はガタガタと震えていて。