それは土下座をしていた伊織の耳にも届いたようで、顔を上げた彼は訝しげに目線をさまよわせた。
「ヘルプー!ねえそこ!ヘルプミー!俺落ちちゃうー!」
今度こそ、はっきりと声が聞こえた。
伊織と顔を見合わせた琥珀は、お互いにクレーン車の柵の方へ近付いて行った。
クレーン車から身を乗り出すようにして声の主を探すと、貿易会社のビルの外壁に張り付いてこちらに助けを求めている男が居て。
やだやだまじで無理、まだピチピチの20代なんだけど俺!
そうやって声の限りに叫んでいるそいつの髪は風に激しくなびいているものの、その色ははっきりと認識できた。
それは、世界中の全ての色を掛け合わせても生まれない、美しい白金。
「…嘘だろ、」
琥珀は、その光景に手の痛みも忘れて呆然と口を開け、
「あれって大也さんですよね?何してるんでしょうか」
隣では、琥珀と同じ光景を見たであろう航海が呑気にそんな感想を零していた。
「大也、俺に掴まって!そう、そのままこっち来て!」
その後、中森にカゴの位置を移動させるように伝えた伊織は、すぐさま航海と共に大也の救出作業に入った。
何がどうなっているのか、彼は貿易会社の外壁にあるパイプに両手でがっちりと掴まっていて、左足は宙でゆらゆらと揺れていた。
「ヘルプー!ねえそこ!ヘルプミー!俺落ちちゃうー!」
今度こそ、はっきりと声が聞こえた。
伊織と顔を見合わせた琥珀は、お互いにクレーン車の柵の方へ近付いて行った。
クレーン車から身を乗り出すようにして声の主を探すと、貿易会社のビルの外壁に張り付いてこちらに助けを求めている男が居て。
やだやだまじで無理、まだピチピチの20代なんだけど俺!
そうやって声の限りに叫んでいるそいつの髪は風に激しくなびいているものの、その色ははっきりと認識できた。
それは、世界中の全ての色を掛け合わせても生まれない、美しい白金。
「…嘘だろ、」
琥珀は、その光景に手の痛みも忘れて呆然と口を開け、
「あれって大也さんですよね?何してるんでしょうか」
隣では、琥珀と同じ光景を見たであろう航海が呑気にそんな感想を零していた。
「大也、俺に掴まって!そう、そのままこっち来て!」
その後、中森にカゴの位置を移動させるように伝えた伊織は、すぐさま航海と共に大也の救出作業に入った。
何がどうなっているのか、彼は貿易会社の外壁にあるパイプに両手でがっちりと掴まっていて、左足は宙でゆらゆらと揺れていた。