「ねえ銀子ちゃーん、俺が世界で一番苦手なものの1つにパッキングがあるんだけどさ、良ければ俺と一緒にやらない?」


「部屋がゴミ屋敷になる未来しか見えねぇから却下」


大也は琥珀の元を離れ、大切そうにパソコンを抱えながら階段の方へ歩き始めた銀ちゃんに近寄ったものの儚く散り、


「もしもし、俺だ俺。…急ですまねぇんだが、3日後から2週間アメリカに行く事になったんだわ。だからその間お前一人で仕事を……は?土産?お前先輩に何舐め腐った態度取ってんだよ、買うわけねーだろこのボケナスが」


琥珀は中森さんに電話をしているのか、時折声を荒らげながらリビングを出て行ってしまった。


そんな中。


「ねえ湊さん、その飛行機のチケット1枚欲しいんですけど…」


私は、如来の様な笑みを浮かべて仁さんと話し込むリーダーの元へ駆け寄った。


「ん?良いけどどうしたの」


「あの、…ほら、私海外旅行行ったことないから、記念に一枚取っておこうかなって!」


瞬時に作った嘘は、いかにも騙されやすそうな顔をしている湊さんにはばれなかったようだ。


「良いよ良いよ!因みに、僕達ビジネスクラスなんだって!」


「冷静に考えて、僕が乗るべきクラスはファーストクラスなんだけどね?」