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驚いて目を開けた琥珀の双眸が捉えたのは、飛び蹴りの格好のまま地面にスライディングした男性の、色落ちした金と黒の混ざった髪がテンポ良く揺れる光景。


「お前、この人を誰だと思ってんだ?銃向けるなんて何様のつもりだよ!?」


瞬きの間に自分を護るように立ち塞がった彼は、無駄のない動きで敵の銃を持つ手を容赦せず捻り上げる。


床いっぱいに飛び散ったガラスが、ガシャガシャと嫌な音を立てた。


「…琥珀にそういう事するなんて、この俺が許さない」



その言葉の裏には、どんな感情が渦巻いているのか。


彼は相当怒っているのか、その肩は激しく上下していた。


敵の手から落下した銃をおもむろに拾い上げたそいつは、いつの間にかもう片方の手に持っていたナイフを勢い良く振りかざした。



彼は素手で闘う事を得意としていたはずなのに、琥珀を護る為ならばその流儀を簡単に捨てる。



「死んじまえよ、このゴミクズが」



そのまま、彼のナイフは敵の胸へと下ろされた。


ぐぁ、と意味のなさない言葉を吐きながら倒れ込んだそいつを見下ろし、伊織は鼻で笑って。



たった今付けた傷口を目掛け、弾丸を2発埋め込んだ。



それはまるで、琥珀の右腕を傷付けた時と同じように。