大也がこうなったのは自分のせいだと責め続け、せめてもの罪滅ぼしにと毎日のように病室に通い、彼の手を握って声を掛け続けた。


彼の脈拍が上がるのを感じ取り、彼が頑張っているのだから生きなければと必死で自分を奮い立たせた。


上手く愛情表現も出来ず、他人からの告白もことごとく断っている自分に、唯一真っ直ぐに愛を伝えてくれる大也。


その気持ちには応えられないけれど、自分が死んだらきっと、あいつは。


(悲しむだろうな…)


彼は透き通る心の持ち主だから、きっと夜通し泣き続けるのは確定である。


そんなの、微塵も望んでいないのに。



続いて、此処に向かう直前に紫苑が自分達に向けた澄んだ瞳が思い出された。


『絶対帰って来てね』


『待ってるから』


あいつだって、3度も家族を失いたくないだろう。


あの可愛らしい顔から笑顔を奪ってしまうのか、俺は。



そして、突然。


『仲直りしないの?このままじゃ、盗みにも影響出そうだよ』


紫苑が自分にかけたあの台詞が頭を駆け巡り、琥珀はぱちりと目を開けた。


(…影響、出まくりじゃねえかよ)


紫苑が危険を承知の上でこのアジトに侵入してしまったのは大也と壱の言い争いもそうだけれど、元はと言えば自分と仁のいざこざが原因である。