そういえば、大也の今日の勝負服は話にならない程凄まじかった。


服装は良しとして、何だあの水鉄砲とヘルメットは。


どう考えても、絶対に闘いに行く格好ではない。


(馬鹿だよな、あいつも)


片耳につけたイヤホンからは、途切れる事なく元気の良いメンバーの声が聞こえてくる。


『ねえ!何その手榴弾みたいなやつ!投げないでってぎゃあ、煙たい!……うーわ俺怒ったから』


噂をすれば、1人でぎゃあぎゃあ騒ぐ大也の声や、


『……あー、最後のBB弾使っちゃった』


闘いの最中だとは思えない程の落ち着いたリーダーの声が。



(こちとら早く45階行きたいんだがなあ)


銀河は感電の影響で半分は戦闘不能だと言っていたし、新たに感電させた奴らも居るだろうけれど、それにしても数が多い。


OASISとの闘いに比べたら人数は少ないものの、それでもフェニックスの方が身体も大きくて、簡単に飛び掛かろうとするとこちらの計画が読まれるから色々と大変なのである。



仕方ねぇ、と舌打ちをした琥珀は、警察官さながらの動き方で部屋の中に侵入した。




「動くな、殺すぞ」




途端、中で隠れていた男が目の前に躍り出て琥珀の喉元にナイフを突きつけてきた。