立ち上がった私は、床に倒れ込んだ大男の頭を踏みつけ、また階段を駆け上がりながら叫んだ。







「私達は、もう離れ離れにはならない!内部決裂なんてしない!私の知ってるmirageは、いつだって強くて格好良いんだから!」






『っ……!』


それを黙って聞いていた湊の目から、1粒の涙が零れ落ちた。






(やっっっば!めっちゃ恥ずかしいんだけど!何今の台詞!漫画!?)


末代まで残りそうな名言を吐いてしまった私は、5Fと書かれた階段の踊り場で赤面しながら悶絶していた。


勢いに乗せて言ってしまったものの、死ぬ程恥ずかしい。


これで彼らの心に届いていなかったら、もう切腹ものだ。


「あぁぁぁぁあ…」


声にならない声をあげて頬を両手で押さえていると、


『…分かりました。紫苑さんがそう言うならちゃんと盗みを成功させます。…ですが、』


ドゴッ…という恐ろしい音と共に、声色ひとつ変えない最年少mirageの声が聞こえてきた。


『湊さん、盗みが終わり次第1発殴ってもいいですか』


(こっ、怖!?)


私の気持ちが届いたらしくて嬉しいけれど、まさかリーダーに決闘を申し込むとは。


ああ、恐ろしや恐ろしや…。



『…良いよ。自分がすっきりするまで殴って』


しかし、湊さんはあっさりとその申し込みを受け入れて。