『そうやって考えると、やっぱり湊さんは良い人ぶりたかったんですか?実の両親を殺した僕の事なんて、きっとそこら辺のアリと同じくらい価値のない人間だと思ってますよね。違いますか?』


ババババンッ…という銃の連射音が聞こえ、サイコパスの声が一瞬途絶えた。


『そんな事思ってるわけないでしょう!?航海、君は物事を悲観的に捉えすぎなんだよ!』


『知ったかぶりは要らないです』


湊さんの大声に被せるように、また航海が冷めた声を出す。


『…家族と幸せな幼少期を過ごしてきた分際で、分かったような事言わないで下さい』


(っ!?)


その言葉は、まさに家族と幸せな幼少期を過ごしてきた私の胸に食い込み、小さな穴を開けた。


自分の考えだけを信じ込んで誰の意見も聞こうとしない今の航海は、覚醒が終わればまたいつもの彼に戻ってくれるだろうか。


(どうしよう!このままじゃチームが壊れる!)


何か助け舟でも出してくれないかと、期待を込めて再度銀ちゃんの方を見たものの、


「まじでやべえって、あと5分しかない……」


余程焦っているのか額に脂汗まで浮かべた天才ハッカーは、本当にこちらの会話を何一つ聞いていないようだった。