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(……ちょっと待って、)


ひんやりとした空気が流れる車内。


ドローンの操縦を行っていた私ー丸谷 紫苑ーは、イヤホンから聞こえてきた言葉に絶句した。


「大也、何て事言ってるの…!?」


大也が仁さんの事を本気で嫌っているのは分かるけれど、何もそこまで言わなくても良いではないか。


こんな提案は誰も飲み込めないだろうし、倫理的にもよろしくない。


それを分かっているはずなのに、琥珀までもがその意見に同意を示すなんて。


『…大也、それは良くないんじゃないかな?今すぐ撤回して』


イヤホンからは、激しい吐息と共に湊さんの声が聞こえ、


『何でさ?どう考えたってウィンウィンじゃん。闘えるのは壱の方だし』


大也が噛み付くように正論を唱える。


「ね、ねえ銀ちゃん何とか言ってよ!このままじゃ…」


怪盗フェニックスの貿易会社に居る味方達のチームワークが崩れていくのを感じ、私は慌てて銀ちゃんの袖を引っ張ったものの。


「あと少しで細工が成功しそうなんだが…あのタピオカ野郎、何処ほっつき回ってんだ」


彼のパソコンは余程のピンチ状態なのか、天才ハッカーは最早イヤホンの声も私の声も聞こえていないようだった。